ウィンナホルンを吹く上での「作法」をご伝授いたします。
「技法」ではありません、あくまでも「作法」ですので、そこんとこヨロシク(笑)

 
 
× 誤った作法  正しい作法
 
このような置き方は、フレンチホルンでは当たり前でも、ウィンナホルンにおいては誤りです。
理由は、「もし上から物が落ちて来たらボーゲン(=円状のマウスパイプ>クルークとも言います)を潰すなど、楽器が一発で駄目になるから」。これは、元ウィーンフィルホルン奏者フィッシャー氏の言葉ですが、それだけでなく、逆さ置きすることでレバー取り付け部に負荷がかかってしまうといった側面もあります。
もし、あなたの近くにいるウィンナホルン奏者が楽器を逆さ置きしていたら、すぐさま次のように(優しく^^;)諭してあげましょう。「もし上から物が落ちてきたら、ボーゲンが潰れてしまいますよ」
  ウィンナホルンは「上向き」に置くのが正解。写真のように椅子の上に置く時でも、机などの上に置く時でも、あるいは床の上に置く時でも、とにかく「上向き」です。まぁ、上から物が落ちてくれば、どっちにしても楽器は潰れるのですけど(おいおい!^^;)、でも、楽器の形状からしてこの方が安定しますから、上向きにして置きましょう。「もちろん」(^^;ウィーンフィルはじめ、ウィーンの奏者たちはすべてこのようにして置いています>これが、私たちが作法を踏襲する重要な「理由」だったりして!?(笑)
例外は、例えばウィーン国立歌劇場のオケピット内などで、譜面台に「引っ掛ける」というのがあります。証拠写真は下に表示。

例外 (っていうか"本家"の作法^^;)
これは狭いピット内のスペースを有効に活用する方法ということになるのでしょうが、一方で、楽器が「軽い」ウィンナホルンだからこそ可能なワザとも言えましょう。譜面台にしっかりとしたフックが付いていることも大きな要素。よって、良い子はマネしないようにね(^^;
★ 写真は、ウィーン国立歌劇場におけるモーツァルトのオペラ公演時のものです(ある方からのご提供)。ちなみに、当日の奏者は、写真右が1番のR.ヤネシッツ、左が2番のゼルナー各氏だったとのこと(ゼルナー氏は既に退職)。ヤネシッツ氏のウィンナホルンとアベコベにぶら下がっているのは、持ち替え用のHigh-F管(レヒナー)です。


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< ボーゲン編 >
× 誤った作法  正しい作法
 
もちろん楽器本体にも水は溜まるわけですが、最も溜まりやすいのはボーゲン。ボーゲンは円状の管ですので、息を吹き込んでやらないと水は出てきません。
しかし、これを上流(=マウスピースを挿す部分)から吹くのは誤りです。細→太に向かって息を吹き込んでも、それは非効率的なだけですものね。
  というわけで、ボーゲンの水抜きは下流(=本体に差し込む方)から息を吹き込む形で行います(写真ではちょっとわかりにくいかもしれませんが^^;)。太→細という形です。水抜きは、楽器を吹く時同様、しっかりとお腹から息を入れて、できるだけ少ない回数で行うようにしましょうね。
なお、水抜きは演奏中にも素早く行わねばなりませんので、その際のマウスピースとボーゲンの持ち方も重要なポイントとなります。それについては下の写真で。

ボーゲンとマウスピースの持ち方
まず左手でマウスピースを抜き、それを写真のように中指以下で挟んだ上で、人差し指・親指を使ってボーゲン本体を抜いて下流から「ふーっ!」。以上!(笑)
右手は楽器本体を支えるために使いますので、ボーゲンの水抜きは、基本的にこのように左手のみで行います(行えます)。なお、上記の指の使い方は、あくまでも筆者の例ですので、個々人で若干のバリエーションが有り得ることは申すまでもありません。しかし、基本は「左手のみ」です。
★ 楽器本体の水抜きについては後日別項にて。

※お詫び。っていうか補足。
当協会メンバー数名から「自分はボーゲンを右手で持って水抜きをしているが、それじゃダメだって言うのか!?」とのクレームが付きました(爆)。いえ、そんなことはないわけで...(笑)。ということで、「左手で持つ」という上記作法につきましては、一例としてご承知置きくださいまし(^^;



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