2005年7月17日(日)


場所:上野地下練習場
時間:10:00〜16:00
参加者:秋元、市川、大湾、佐々木、佐藤、田中、筑城、中根(史)、松井

●練習曲:
Tanhauser (Wagner/P.Damm)
Tristan Fantasiy (Herman Jenrissen)
Festival Fanfare (N.Perrini)
Festfanfare (H. Wottawa)

●感想:
半月ぶりの例会です。とはいえ、私は諸事情により1ヶ月ぶりの参加と相成りました。月末の集中練習に、今回1st担当の一人である佐藤さんが不参加とのことで、氏がトップを務める4曲を練習しました。

この日は最初にフォルカーさんから興味深いレクチャーがありました。「演奏の段取りを決めてそのままやるのもいいけれど、各場面でメロディーを担当する人、主導権を握る人は他の人に自分がどう吹きたいかを体で伝えてください。そして伴奏の人はその意思を瞬時に感じて、それにつけるように吹いてください。その結果、段取りが多少崩れようと、とりあえず今はそれでいいです」(大意)。
フォルカーさんがこのようなことを仰ったのには実は伏線があって、先月氏の所属するオケにキンボー・イシイ=エトウさんが指揮でいらっしゃり、演奏会前日(!)に「指揮者のやりたいことを瞬時に感じ取り、それに合わせる練習」と称してテンポを滅茶苦茶に揺らしたり、ダイナミクスを変化させたりと、一度段取りを壊してから本番に挑んだということがあったそうです。結果的に本番は指揮者とオケが一体となった素晴らしいアンサンブルを行うことが出来たそうで、本日の前向上はそれを享けてのものだったのかな、と思いました。ご自身が学んだことをこういう形で団体にフィードバックしていただけるのは本当にありがたいなあと思いながら聞きました。
私事になりますが、最近オケの中で演奏をする際、出来るだけ他の人を見ながら演奏するようにしています。ヴァイオリンとあわせなければ行けない時はコンマスを、オーボエと合わせなければいけない時はオーボエを、もちろん同じパートと合わせる時は隣の人を。そうやって見ることで少なくとも息遣いは共有できるので、アンサンブルがとてもやりやすくなりますし、何より演奏していて楽しくなります。これはホルンアンサンブルにも応用できるのではないかと思いますが、どうでしょうか(もちろん終始お互いを凝視しての演奏になっては気持ち悪いですが……)。

さてこの日は『タンホイザー』→『トリスタン』→ペリーニ→ヴォタヴァと体力を酷使する曲が並びました。
最初の『タンホイザー』ですが、響きは充分にそれらしくなってきたのはいいのですが、あまりに音程が合わなかった気がします。練習場所がデッドということもありますが、ピアノの音楽などで音程が合わず、気持ちのよい響きが生まれる瞬間が少なかったように感じました。私はそのせいかどうも確信を持って吹くことが出来ず、音楽を作るためのアクションが後手後手に回ってしまいました。次回からスコアを忘れず持参したいと思います。昨年ブルックナーの9番をTWVのメンバーで演奏した際、大事な和声に関して全員パート譜にコードを書いて演奏した……ということがありました。そういう地道なことをやってもいいのかもしれません。

『トリスタン』は冒頭のフォルテとピアノの使い分けが皆さん素晴らしく、録音を聴いて膝を打ちたくなる瞬間が幾度もありました。中間部の5th松井さんのタンギングはとてもクリアで美しく、私もああいう風に吹けたらと思いました。今回はワーグナーを3曲演奏しますが、この曲に限らず早くなったところが難しいなあと感じております。勢いで行ける面もあるのですが、クリアな発音を心がけないと何をやっているか判らずに終わってしまう気がします。

ペリーニとヴォタヴァのファンファーレは、綺麗に和声を響かせなければいけないとともに、強い音楽を要求される箇所の多い、大変な曲。この日は「強い音楽を」ということに強く意識が行ってしまったのか、アンサンブルが荒れ気味で和声もぐちゃぐちゃでした。本番会場はよく響く三鷹のホールなので、ホールの響きを借りるつもりで力を抜いて演奏したほうが成功するかもしれません。


本番2ヶ月前となり音楽の流れや構成はだいぶ出来てきたのですが、アンサンブル密度が若干散漫で、吹いていてとても疲れる印象があります。もっとお互いに寄り添うような自他共栄のアンサンブルが出来れば、響きの密度もまとまってきて、リラックスした肩の凝らない音楽になるのではないでしょうか。今後の練習で色々と実践してみますので、気がついたことがありましたら随時発言していくつもりです。

(筑城)